ちょっと現場でイラスターのトラブルがあったようで、
聞けば配置ファイル収集ソフトに関わる過信が原因だそうですよ。
別のディレクトリに置いてある同名ファイルが一カ所に集められる際の挙動などは
あらかじめ頭に入れた上でファイル名や置き場所の管理しないといけませんやね。
最近はCCにパッケージ機能なんかついて解消されてるらしいですがね。
リンクの更新もちゃんとしてくれる。
ウチらのように少し古いバージョンをいつまでも使う現場ではただのおとぎばなしでして…
配置ファイル収集の話とは違うんだけど、
これをきっかけに思い出した、過去に8.0で事故ったケースを紹介しておきます。
手元のCS6で試してみたら同様に再現してしまいました。。
当時、自分だけ残して全員帰り、徹夜で夜中に完全データの一発下版。
カレンダーのデータが、こんな感じで入稿してきました。
注目するべきは、各ドキュメントのリンクが同一階層にないこと、
月ごとのリンクファイルが共通した名前であること、
そしてそれぞれ絵柄が違うこと、
MOを介してローカルにコピーしたデータは全てリンク切れしていたこと。
もうヤバい予感しかしないでしょう。
ウチは当時、まだ「完全データ」という言葉に油断しまくる若者でした。
記憶はあいまいですが、以下の手順で作業したかな。
ドキュメント1を開く
↓
配置ファイルのリンク切れでダイアログが出る
↓
置換ボタンを押し、ファイル選択ダイアログから1つずつ指定
(DefaultFolderへの甘えもあり、この作業を苦と思わない罠あり)
↓
開いたドキュメント1のデータを編集、出力(Quark配置)に向けてeps保存
↓
続いてドキュメント2を開く
↓
ディレクトリ構造はドキュメント1と同様
なのにリンク切れのダイアログは出なかった
↓
気付かず作業、出力、明け方ぐったり帰宅、ぐっすり仮眠
↓
いろいろあって翌日吠え面
以下、仔細に解説など。
ドキュメントと別階層のファイルをリンクしたデータをそのままコピー(=入稿)した場合、
コピー先(受け取り先)ではすべてリンク切れとなります。
これはリンクが絶対パスで記録されているためです。
相対パスと絶対パスについてはこんなかんじ。
ドキュメントを開いてリンク切れで叱られた際、いきなり置換せず、一旦「無視」して開くと、
ドキュメント情報パネル > 配置されたファイル から元々の配置ファイルの場所を参照することができます。
リンク修復を人任せにしないために、
データ入稿時には配置ファイルをドキュメントの同一階層への収集が必須となります。
レイアウト完成後に配置ファイル収集ツールなどを利用するわけです。
でも、これはあくまでヨソにデータを出すためのお作法。
自分用に「とっちらかってきたからスッキリさせたい」などの目的ではちょっと危険。
ファイル収集後は元のリンクファイルを片付けておかないと、
次にドキュメントを開いたとき、しれっと元のファイルがリンクされます。
そのまま同一階層のリンクファイルを変更して、
ばっちり直した気になってしまうことも。
こわいこわーい。
では冒頭の、過去にウチがやらかした作業をもう一度。
最初に開いたドキュメントで、リンク切れのダイアログが出ます。
ちとイラスターのバージョンが半端に古いけど気にしないで…
人間視点の推測で、階層的にコレと思われるファイルを指定して開きました。
この頃はまだ意識がハッキリしていたので出力見本など参考にばっちり確認などしたし。
問題は次なんです、次。2つ目のドキュメントを開くとき。
※これには最初のドキュメントにリンクされているのと同じ名前の、
しかし置き場所も絵柄も全く違うファイルがリンクされています。
正しくリンクした場合は、こんなかんじ。
なのに、「最初のドキュメントを開く時に指定した置換ファイル」を
無言でリンクしてよこす。。
これで見事に事故りました(と同時に立場を追われましたorz)
まあ、疲労と眠気のなせる校正ザルっぷりもあったわけですが。
回避策としては以下のいずれか。
(日)あらかじめ同一階層にリンクファイルを集めてから開く
全体的にリンク切れの場合、同一階層のファイルを無条件でリンクします。
(月)ドキュメントを開く前にアプリを再起動する
これがおすすめ。手間は減らないけど危険は減る。
(火)名前のかぶったファイルをあらかじめリネームする
こうしておくと複数ドキュメントを一カ所で管理できる利点があります。
が、手作業での再リンクはかなり手間で危険。ひとつでも間違うと閉じてやり直し?
ウチが事故った案件は、(日)と(月)を複合で行うことでどうにかなりました。
最悪のケースとして、こんな状態のデータが来たらおとなしく(火)をやりましょう。
そして恨んでやれ呪ってやれ罵ってやれ。
仮に入稿データがこのようなディレクトリ構造であった場合、
手元に出力見本があったとしても大ケガさせられるかも知れません。
(これも過去実際にあった)
一般に出回ってる配置ファイル収集アプリやスクリプトも、
名前かぶりについてはケアがない物が多いです。そんなの作業者が自分でしっかりしろよって話ですが…
いくつか試してみたところ、
・後から来たファイルに次々と上書きされていく物
・後から来たファイルの末尾に「 2」など枝番が付く物(当然ドキュメントは自動でそれにリンクしない)
がありました。
特にそのツール達を責める気持ちなどはないのですが。
InDesignもですが、パッケージ機能を使うと重複したファイルには枝番をつけた上でリンク更新してくれますな。
それよりも、昔っからこの仕様なのに、
なんでそんなグダグダなデータ作りをする人がいなくならないのか、という部分にイラダチを覚える次第です。
逆にこの性質を利用して、
同トリミングのリンクファイルを入れ替えて数台のレイアウトを用意する、
なんて作業フローもあるにはありますねえ。色違いのパッケージとか。
まあ気をつけましょうね、という話です。今さらな内容でしたけども。
でーす。