あいさつ
どもども。うち、いま印刷会社にいまして。
といっても自分はいまデータ制作までしかしてなくて、出力作業は別の担当者がいるんですけど。
といっても製版屋歴がわりと長いので、そこいらのプリプレス作業者よりは出力工程のこと知ってるつもりでして。
弊社のRIP(印刷用のデータ処理ソフト)では、K100のオブジェクトに自動でオーバープリントを施すように設定しています。
この設定は世間一般の印刷会社でも広く採用されており、主にテキストがK100で配置されるデザインに対しては非常に効果的であるといえます。
ここまでで否定されては話が進まないので、「そうなのね」としておいてください。
とうぜん、絵柄中の広域なK100領域があれば背面オブジェクトに注意したりもしています。
なんでか
元来オーバープリントはデータ設計者が意図をもって施すべき設定なのですが、
そうではない入稿データが後を絶たない現状です。
効果をねらって設定されたデータはほぼほぼ皆無で、意識外で設定されたまま知らずに入稿されてくるケースばかりです。
つまりは、最大公約数的な考えにもとづいています。
へんなデータどうやってできるの
その経緯はといえば、はじめにK100で利用していたパーツがあり、何らかの経緯でそれにオーバープリントが設定され、
いつか別の色で流用することとなり、単純に今回使用する色の適用だけをして、オーバープリントが残る。
Illustratorでは本当によく起こる流れなのです。
そのため弊社では、
・データにあらかじめ設定されていたオーバープリントは無視
・K100オブジェクトのみRIP上で自動的にオーバープリント処理
というフローを行っております。
当然、入稿時とくに「オーバープリントを活かして」などと添え書きがあれば確実に対応させていただいてます。
軽いまとめ
なかでも「白のオーバープリント」だけは絶対に狙ってやるものではないので、
これも近年ではRIPに専用の設定項目が設けられていたりします。
ここまでで、この2点がだいじなところです。
・黒(K100)は基本的にオーバープリントにする
・白は絶対にオーバープリントを無視する
さて本題
先日、白ヌキのイラストが配置されたデータが入稿されました。
Illustrator上では見えており、オーバープリントプレビューでも異常は見つからず、
RIP処理して出力したらまるごと消えた、という謎に出くわしました。
くわしく紹介します。
ファイルを開くとこんなかんじ。この白いひとかたまりが出力したら消えました。
これ、元はスミベタで使われていたのを流用したらしくて。
線と塗りが混在したグループだったので、
想像だけど、別のカラーに変更するのがめんどくさかったんだと思います。
それで実際のデータは、グループの描画モードを「比較(明)」にしてありました。
想像だけど、これでラクしてズルしてうまいことしのいだ気になったんだと思います。
この作り方、ラクにカラー変更できた時点では、ある意味では本当に正解なんです。
でも、出力したら見えなくなちゃたよ。困ちゃたよ。
実は、冒頭で記しておいた世間一般の印刷会社のありふれたRIPの設定が、じゃまをしたわけです。
そう、K100自動オーバープリント。
今回、社内で相談を受けたものの自己の脳内RIPが働かず、
京都のおせんべいやさんに相談して鮮やかに教えていただきました。さすがすぎないか。頼もしすぎないか。
たしかめよう 見つけよう すてきな罠データ
RIPというやつは、どのご家庭にでも一台は置いてある…ような物ではないので、
ひとつ、手元のIllustratorだけで検証してみましょう。
問題のマークを選択して、編集 > カラー編集 > プラックオーバープリント
を、以下の設定で実行します。これでK100のものにオーバープリントが適用されます。
…かかりました。画面上は白だけど構成しているパス1こ1こはK100だから、かかっちゃうのです。
↓ 塗り線いっしょに選択しているとわかりにくいので、塗りのものだけ選択してみせたところ。
そしてドキドキのオーバープリントプレビュー。
はい、どーん。やったー(うれしくない悲鳴)
というわけです。
オーバープリントと透明効果は、とにかくよくケンカします。
よほど実現手順が大変でない限りは別の手段でデータを作ってほしいな、と出力屋の目線では思うわけです。
濃度を落とすだけの目的で不透明度をいじったりなんてのは論外中の論外ですよ。
かくいう出力屋も、データを開いての確認を怠ってはいけません。油断するといつでも欺かれます。
・オーバープリントプレビュー
・分版プレビュー
に加えて
・分割・統合プレビュー
も面倒がらずに行っていれば容易に気付けたんじゃないかなーと思うです。
いや、自分も気付くの相当おそかったけど……
(追記)ほかの回避策はないのか
今回はPDF/X-4で運用してのことでした。PDF/X-1aを採用すれば回避できたかと思います。
が、X-1a主体でやってた頃は、透明効果まわりのストリーク(ほっそーーいスキマが出るアレ)にさんざ悩まされていて、今でも夢に見るぐらいこりごりなんだそうで。わっかる。
時代の流れでX-4を使うようになって、やっとあのいまいましいスジに悩まされずに済むぞ、と思ったらこれかよっていう。
「コレやっとけば全部に通用する」は、そうそうないですね。
データの内容に応じた対策を都度とらないといけない、というのはいつの世でも頭に入れておきたい。
おわりに
今回はCTPにまわる前に発覚したのでぜんぜん大丈夫だったんですが、
コレを得意技としている制作者にひとこと言ってやろうと筆をとったものの、
なんかいい感じの言い方がまとまらなくて一旦おくことにしてしまいました。
「自動スミノセなんて印刷屋の都合でしかないじゃないか」
なんて言われたらムググとしか言い返せない気がしてしまって。
なんかいいいいかたないですかね…
後日談
なんとなくデータ制作元へのフィードバックに少し悩んでいたんですが。
それは
・きちんと伝わるか確証がない
自社営業→先方担当→デザイナー の伝言がうまくいくか。直接連絡できたとしても理解してもらえるかどうか。
・弊社だけの問題と思われる可能性がある
暗黙でヒーコラ対応してくれる印刷会社もある。弊社もやるだけやっているけど、ただ黙ってやりっぱなしでは延々リスクを負うことになるのでフィードバックは基本セッキョッ的に行なっています。
だいたいこんな感じだと思っていながら、他にも何かやな予感がして、なんとなく直感的に言い淀んでしまい。
営業と話をしていて、それの正体がわかりました。
・以前からずっと同じデータで入稿していて、今回に限り異変が起こった ←new!
…のだそうです。前回は数年前になるんですが、その頃はまだPDF/X-1aで処理してたみたい。
PDF/X-4運用に変更して、透明効果の処理に強くなったはずが逆に足元を掬われる形になったという。
おおなんという皮肉。
後日談へのコメント
京都のおせんべいやさんに相談の顛末を伝え、本記事を見てもらったところ、簡潔に的を射たご意見を頂戴しました。
独り占めがあまりにもったいないので、全文掲載の許諾をいただきましたっ やったー。
ちょっと量があるので別記事にしました。読んでっ読んでっ!
透明効果とオーバープリントは仲が悪いぞ の余録
うちも言語化もっとうまくなりたいなあ。