透明効果とオーバープリントは仲が悪いぞ の余録

先日の入稿データ謎トラブルについて、京都のおせんべいやさんこと元・SCREEN 出力の手引きWebの中の人、松久さんから大変ありがたいコメントをいただけました。
自分の読解力の乏しさから聞き返してしまい、そのたび溢れ出るエモい情報整理。

こうなったら何度も聞き返して至福を味わい続けちゃおう…などとは思いもしなかったわりに、結果そうなってしまいまして。めんもくない。
自分だけ読むのはあまりにももったいないので、一連のやりとり掲載のご許可をいただきました。
本業のお忙しい中、本当にありがとうございますすぎます。

自動黒オーバープリントは、画面で確認したデータをRIP内部で書き換える処理であり、原理的に「画面通りに出ない」リスクを高めます。正しく黒オーバープリントが指定されているデータの場合は余計な処理であり、一方的に「受け手側の都合」とは言い切れません(この点を先方に理解してもらえれば、そう説明できます)。

また、「PDF/X-1aだから安全」とは一概に言えないため、その前提自体を確認すべきです。

・PDF/X-1a
透明効果はDTPアプリ側で分割・統合(1)され、見かけ上は透明でも、実体は透明でないデータになります。この段階での透明の振る舞いにはRIPは関与していません。

・PDF/X-4
透明効果の合成はRIP内部の演算処理(2)によって行われます。
一般的に、RIPでの自動オーバープリント処理は、DTPアプリ(1)が出力したPDFと、RIPでの透明合成演算(2)の間で行われます。そのため、期待通りの結果になるかどうかはケースバイケースです。

具体的には、透明効果の種類によっても結果は変わり、自動オーバープリントは各RIPベンダー実装に依存するため、処理も異なります。今回の「比較(明)」では問題なさそうに見えても、他の透明効果が絡むと万能ではありません。従って、「PDF/X-1aで書き出していれば自動オーバープリントは問題ない」と断言することはできません。
はじめの一節、すこし表現が逆転している観があるので確認させてください。

「受け手」が印刷会社、対して制作主が「送り手」の場合、
「一方的に『受け手側の都合』とは言い切れません」
は、むしろオーバープリント処理に無頓着な送り手に向けた意見なのでは、と思います。
「そっちの都合でしょ」と言うのは、作り手=制作者ですよね。つまり、印刷会社の都合で自動オーバープリントを行っているわけですよね?
もうこれは、製作者と出力側の力関係かも知れませんが、印刷会社目線では以下のことが言えます。

黒オーバープリントを、正しくデータで指定されている、という共通認識が基本的にない、とした場合、自動オーバープリントは、墨ノセが行われない問題、墨オブジェクトがヌキになる問題の回避策です。
これは、比較(明)で発生しうる問題より、はるかに頻度が高いので、仕方なく、自動オーバープリントを行っている、と言えます。
つまり、「データの不備」を助けているのて、この観点から言うと、むしろ制作者の都合とも言えます。

ただし、「そっちの都合でしょ」って言ってしまうような制作者に、「いやいや、データが悪いから仕方なくやってるんですよ」なんて言っても、険悪になるだけで、理解は得られそうにありません。
従って「理解してもらえれば」の前提が付いてしまうんです。

RIPベンダーの立場で、これを、制作側にも出力側にも、訴えることで、黒オーバープリントは正しくデータで指定されている事、つまりノセイキ運用が、技術的には理想解と示してきたわけです。
これなら、墨ノセと比較(明)が両立できます。
当方の懸念点「『そっちの都合でしょ』と言われかねない」は、そもそもオーバープリント管理がされていないデータの制作主に言われた場合、認識の改善と理解を期待して説明する機会が生まれる、ということですね。
ようやく不安を持たず先方に展開できる自信がつきました! ありがとうございますっ

といったところです。
松久さんとっくに退役されているのにどっぷり頼ってしまい。
しかも弊社EQUIOSじゃなくてApogeeなのに…非常に申し訳ないですw ものすごく助かりました。
松久さん、今でも出力サイドにいる自分にとって希望の星です。どっぷり甘えてご面倒おかけしました。
よい子のみんなは真似しないでね!(うちはまたやりたい…がまん)

One thought on “透明効果とオーバープリントは仲が悪いぞ の余録

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